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第二十弐夜「空白の4時間」夢育美談

前回「八千代」で”夜中のサイクリング”という奇行を紹介させて頂いた夢です。 毎年11月3日の「文化の日」にはサイクリングに行くと中学生の頃から決めている私は、大学2年のその年もやっぱり出かける事にしました。しかも、「夜中のサイクリングバージョン」で。「八千代」の話の後のことです。 急に思い出したように11月2日の晩に、寝袋を持って、ダウンジャケットを着こんで出発。今回は無謀にも、「房総半島一周」を企てました。先ずは九十九里浜に向かいます。夜中になる前に海岸に着きました。 夜の海って、真の闇に波の音だけ(しかも荒れてる)が響くんです。これだけでも下手なオバケ屋敷より数段恐い。その上、何故か巡回中の警官に追いかけられそうになったりと(笑)、どきどきです。 暫く休んで、そのまま外房沿いに南下し、大網白里、鯛の浦、などなど……。途中ヤンキー軍団の溜まり場のゲーセン脇を通過したり(マジびびった)その人達の暴走行為中と出くわしたり、「こっちの世界」の恐怖を堪能しました(爆)。 途中でコンビニ帰りのご夫婦からパンとコーヒーを差入れされたり(夜中の2時頃でしたけど)、タクシーの運転手に声を掛けてもらったり、人のありがたみも感じました。うーん、まだまだ捨てた世の中じゃないぞ(笑)。 翌日のお昼前には南端の千倉に着き、昼食を食べながら一休み。休んでいた公園にいた、小学生の男の子たちとドッジボールをしたりして遊びました。今思えば、この体力消耗がいけなかったのです。帰路はかなり疲労が激しく、緩い上りであるのも手伝って、かなりのペースダウン。まぁ、睡眠も取ってませんし、無茶なんですけどね。 しかし、何とか家まで帰らないと、翌日講義があります。必死にこぐペダル。沈んでいく夕日。館山を過ぎた頃には、日が暮れていました。 そのまま16号を行くのは交通量から危険と判断して、一路「茂原経由」のコースを取りました。 これがまたキツイ。途中まで結構な上りでした。内房沿いから、少し半島中心に向かうコースです。 辺りは人家もまばらで、クツワムシのがしゃがしゃという鳴き声だけが響きます。もう眠くて疲れて、1秒でも早く家に着きたい、布団で寝たい、それだけを考えて走りつづけました。そう、自転車をこぎながら、半分以上眠っていたんですね。 記憶しているのは、真っ暗な道で、消防団の詰め所? みたいなところの前の水道で眠気覚ましに顔を洗ったところまででした。その次に気がついたのは、なだらかな下りで、綺麗に舗装された道路、真新しい芝生、そして明るい水銀灯。気が付くとイチゴの無人販売小屋の前で、左足を付いたまま停車していました。あれぇ、さっきまで必死に登ってたはずだけど……真っ暗だったよな……記憶を手繰っても、全く思い出せません。そして時計を見ると、最後に確認してからおよそ4時間が経過していました。取り敢えず自転車を降り、のどが渇いていたのでイチゴを買って(300円払いました(笑))、おいしく戴きました。 時間は夜中の11時くらいだったと思います。場所が分からないので、地図を出して電柱の番地で確認しました。 四街道市……駅が近い……え!? な、なんでこんなとこに居るんだぁ?? 自分の感覚では、4時間経っているのもおかしいんです。 五分くらいしか経過していないような時間感覚。 しかし、場所は確かにはるか先まで移動している。 それも、「初めて走る」道を。 一体どうやってここまで無事に着いたのでしょう? 地図を持っていたので、見ながら来たのだとは思います。 しかし、その間の記憶が…… 道は一本道のはずがありません(地元の方分かりますよね)。 車だって、走っているはずです、数は少ないでしょうけど。 これが「帰巣本能」なのでしょうか。 極度の疲労と朦朧とした意識で、野生の力に目覚めたのでしょうか。 そりゃ、酔って記憶を無くした事くらいはありました。 しかし、これ程理性的な行動をとれるモノなんでしょうか? 初めての道を、地図を頼りにゴール目指して自転車をこぐ。 そしてもう一つ。 記憶にあるまでのペースから考えると、およそ3倍近いスピードで走っていないと、4時間で四街道まで行けていないのです。 これはどう考えるべきなのでしょう? まったく謎のまま、無謀な34時間の房総一周サイクリングは終了しました。 翌日の講義は、もちろん爆睡です(笑)。 思ったより筋肉痛にはなりませんでした。 サドルで擦れたお尻が痛かったですけど……(^^; これもやっぱり、「あっちの世界ゾーン」の一つと言えるのではないでしょうか。 —————————— 以上です。 恐い話ではないですけど、不思議な話ではないかと思っています。 自分にとっては一番の謎です。 あの4時間、自分はどうしていたのだろう? それを想像すると、恐い想像をしてしまいます(笑)。

第二十壱夜「体験した恐い話」コジローLv9談

コジローLv9は高校生のころ寮に入っていました。 そんなある日の消灯後の深夜……。 夜遅くまで勉強していたコジローLv9は寝る前に「うんこ」をするためにトイレに行きました。 ちなみにこのトイレの一番奥の密室はガラスの窓(当然曇りガラス)があり、窓を開けることによって夜景を楽しみながら用を足せるという特権がありました。しかも、コジローLv9が入ったトイレは4階。そこから見渡せる夜景はまさに絶景です。 しかし、コジローLv9は夜景を楽しむ趣味がなかったので奥から2番目の密室に入りました。こんな夜遅くに起きているのはコジローLv9だけです。寮は不気味に静まりかえっていました。っと突然!! 「ガラガラガラァーーーー!!!」 っという激しい音と共に一番奥の密室の窓ガラスが開くではないですか! いくら「うんこ」に夢中になっているとはいえ、誰かが入ってきたのに気づかないほどコジローLv9は鈍感ではありません。 「外から誰かが窓ガラスを開けたのか?」 っとそんな考えがコジローLv9の頭に浮かびましたが、コジローLv9を脅かすためだけに、こんな真夜中にしかも4階の窓ガラスの枠にへばりつくという危険をおかすでしょうか? 「はぁー!これは怪奇現象か?!それとも夢かぁ?!」 っと混乱しているコジローLv9をよそに再び激しい 「ガラガラガラァーーー!!」 っという音と共に窓ガラスは閉まりました。 出るものも出なくなったコジローLv9は慌てて隣の密室へ行き、窓ガラスを開けようとすると……。 鍵がかかっている!! 鍵を開けて外を見ても当然誰もいませんでした。 あの窓ガラスが開いた音はいったい何だったのか? その謎は未だに解決されていない。

第二十夜「太鼓の音」魔美談

私はとっても怖がりです。 でも怖い話は大好きです。そんな私が体験した怖い話です。だから当然実話です。 高校生の頃の話です。私の地元は超の付くほどの田舎です。電車は2時間に1本です。そんな事はどーでもいいか・・・。 ある夜11時頃遠くから太鼓の音が聞こえました。部屋で1人本を読んでいた私は耳をそばだてるのですが、祭囃子のようにも聞こえるものの、遠くから聞こえるためはっきりとは聞くことはできません。田舎ですから離れた地区の人達が祭りの太鼓の練習でもしているんだろうと思って気にも留めませんでした。そろそろ寝ようか、私はあっちの世界に足を踏み入れているとも知らずにそのまま布団に潜り込みました。 それからすぐに私は金縛りにかかりました。 初体験は中学生。もう慣れたものです。ほうっておけば解けるだろう、安易な気持ちで構えていました。ふと、太鼓の音がどんどん近づいて来ていることに気が付きました。 これはやばい、あっちの人達と接触するのはゴメンだそう思って目を硬く閉じ解けることを待ちました。しかし一向に解ける様子はなく太鼓の音はもう私のそばにまで来ています。あまりの恐怖にどうすることも出来ず当然金縛りだから指も動きません。助けを呼びたくても声も出ません。その時ふと中学時代憧れていた人のことを思い出しました。 彼は般若心経が好きでした。 何とかなるか、一か罰かの気持ちで心の中で唱えました。 まかはんにゃーはらみた、じーしょうけんおんかいくう・・・・・・・・・・・ だんだん金縛りの力がよわくなっていきました。 楽勝、私は心の中でVサインを出していました。 太鼓の音は少しづつ離れて行き金縛りももう解けそうです。 どこまで唱えたのでしょうか、もうすっかり記憶の隅に追い遣った憧れの人with般若心経。曖昧になっていき、ついに経文が全く思い浮かばなくなりました。 やばい、そう思った瞬間足のつまさきから頭のてっぺんまで細い紐でらせんじょうにぐるぐるまきにされるような衝撃をうけました。そして今まででは考えられないような強い力。今までいろんな体験したけどけど、こんなすごいのはじめて。などとかわいいことを言ってる暇はありません。太鼓の音は部屋中に響き私の頭は割れそうです。 だめだ連れていかれるーーーーーーー ;_; 私は覚悟を決めました。このまま引っ張られてあっちの世界に行くことを。こんな事で死ぬなんて人間の命ははかないもんだい。心の中の私は、さいごの力を振り絞って叫んだつもりでした。 連れてく気なら連れてけーーーーーー >0< その時突然金縛りは解けました。太鼓の音は段々離れていき終には聞こえなくなりました。私はしばらく呆然としていました。そのうち眠りにつきました。 次の日の朝、母親にその事を伝えると母親は全く信じてくれませんでした。それもそのはず、季節は冬。お祭りの練習などあるはずも無く、まして太鼓を11時過ぎにたたくなどということは近所の手前何処の地区でもやらないと…… あれはなんだったんだーーーーー @0@; いまだに太鼓の音を聞くとあの夜を思い出しとても怖くなります。 今後私をもしあっちの世界に連れて行きたいのなら手荒な真似は止めて欲しいです。

「スターボーズ」いたこ28号談

『空手バカ一代』を皆さんはご存知だろうか? 1971年から『週刊少年マガジン』で連載された、原作が梶原一騎、作画がつのだじろう、の劇画漫画である。主人公の空手家が世界中の格闘家と死闘を繰り広げる、最強になりたい昭和の中二病な男の子達に影響を与えた空手活劇だ。私も例外ではなかった。入学した大学にフルコンタクト空手(直接打撃制の空手)部があることを知ったその日に、衝動を抑えられず入部届を出した。『空手バカ一代』の影響をモロに受けた先輩達には色んな意味で凄い人が沢山いた。 男子寮で先輩達が鍋をするからと誘われて行くと、そこには煮えた鍋と皿のみが置かれていた。 ……箸がない。 「素早いスピードの突きで具をとれば熱くない!」 「押忍!」 煮えたぎる鍋の中にマッハの拭き手! 誰一人成功せず部屋中は飛び散った鍋の具が散乱した。 圧縮バット三本を手刀で折る先輩は金属バットを手刀で折る夢を見た。 夢の中で大山館長曰く…… 「キミなら金属バットを破壊できるよ」 「押忍!」 正夢に違いないと金属バットに手刀一撃。 ……腕を複雑骨折。 練習は厳しいが『押忍!』の精神で劇画漫画の世界をリアルに挑戦するエピソード満載の毎日が刺激的で楽しかった。 そんな中に組手がむちゃくちゃ強い先輩がいた。仮にA先輩としよう。A先輩はあまり練習に来ないが、組手の練習がある土曜日には必ず来る、 「実践こそ空手道!押忍!」 の持論から、夜な夜な街に繰り出し喧嘩自慢と戦っているとの噂もある実践空手バカな人物だ。 そんな男臭い先輩に念願の彼女ができた。 愚直な先輩は愛する人をいつでも守れる為に自宅からの通学をやめ、大学の女子寮にいる彼女の近所に住むと決めた。と言っても、季節は七月。大学の周辺で値段が安く空いている部屋を見つけるのは難しい。不動産屋さんに頼み込み、空いているアパートをなんとか紹介して貰ったのだが……。 そこは学生達の間でも有名な幽霊物件であった。 霊が出る部屋なのだ。誰も住めないから空いているのだ。 失恋で首を吊り自殺をした学生がいた、顔面をハンマーで殴られ殺害された事件があった、孤独死しでグズグズにトロケた老婆の遺体があった、等……嘘か本当かわからない不気味な噂が飛び交う部屋だ。ただ、幽霊が出るという噂については、かなりの信憑性があることだけはわかっていた。 「幽霊屋敷に住むのも空手道!押忍!」 と、先輩は私にはよくわからない持論でその部屋に住むと決めた。私は心配しながらも……どうなるか興味津々だった。 そんな先輩は引っ越しが終わった日を境に、必ず参加していた土曜日の練習にすら来なくなった。 幽霊物件と関係があるのか?空手バカであり怪談バカな私は先輩が何らかの心霊現象を体験しているのではと、話を聞きたくて聞きたくて堪らなくなっていた。 ひと月程が過ぎた頃、大学の食堂で先輩を見つけた。先輩は食事をするでもなく、席に座り窓の外に広がる芝生を無表情で眺めていた。 「押忍!」 私の挨拶に少し驚いた顔を見せた先輩を気にせず質問をした。 「先輩!幽霊でましたか?」 少しの沈黙の後。 「幽霊か……出たよ」 引っ越しを終えた二日目の夜に、怪奇現象が起こったという。 築三十年、二階建ての五部屋ある木造のアパート。一階の角部屋が先輩が引越した部屋。台所とトイレはあるが風呂は無い六畳一間のカビ臭い和室だ。家具は机があるだけという殺風景な部屋である。 その日は布団を部屋の真ん中に敷いて眠った。初めはクーラーの室外機の音だと思った。やがてその音は先輩が寝ている畳の下に移動し、それはクグモッタ男の声でブツブツと意味不明な言葉を呟き続けているのが分かった。気になってくると眠れない。五月蝿いのでアパートの下の住民に文句の一つも言ってやろうか……。いや、この下には部屋はない。床下に人がいるわけがない。 声は大きくなる。……お経だと分かった。男が畳の下でお経を絶叫しているのだ。 飛び起き畳に正拳突き! 「うっ」 お経を唱えていた主が絶句した。 「消えたので熟睡できたよ」 正拳突きで霊を祓うことが可能なのですか、とビックリする私に、先輩は「気合」と言う。土曜日の練習に行かなかった理由は大学の課題が大変だったから。「押忍!」さすが先輩! 「彼女とはうまくやってるよ」 しかし…… それから一週間後。食堂で座る心ここにあらずという表情の先輩がいた。「押忍!」と挨拶を済ませると、失礼だと考えながらも我慢できず幽霊は出たのかと聞いた。 「出たよ」 大変だった課題を終わらせた夜、眠っていると息苦しさで目覚めたという。身体が動かない。とにかく身体を動かそうともがいていると、仰向けで寝ている先輩の足元に女が立っていた。白い着物を着た女。首を少し前に曲げ、顔に掛かる長い前髪で表情は見えない。 「王道ともいえる幽霊の姿で出やがった」 と呆れながらも、目をそらしたら負けだと本能的で感じ女から視線は離さなかった。 睨みあう女の幽霊と先輩。 数分間の沈黙が続き、女は左右に首を振ると、ゆっくりと歩き出した。すり足で、先輩が寝ている布団の周りを歩くのだ。何度も何度もゆっくりゆっくりと……。 「何か仕掛けてくるかと覚悟をしたが。それだけなんだよな……で、金縛りだったんだけど、いつの間にか眠っていたよ」 「寝ちゃったんですか……」 次の夜もその女が出たという。 「問題なかったよ。俺には女を歩けなくする作戦があったから」 部屋の壁際にある机の前に布団を敷いた。そうして、上半身を机の下に突っ込んで眠った。 「こうすれば机が邪魔で、俺の周りを歩けないだろう?」 ……私は先輩が何を言っているか理解できなかった。 真夜中。昨夜と同じように息苦しくなり目覚めると金縛りで身体が動かない。女が足元に立っているのが、机の下から見えた。 そして女が布団の周りを歩き出したが……机の前で立ち止まった。作戦が成功して机が邪魔で歩けないようだ。 先輩は机の下で「勝った」とほくそ笑んだ。 机の下から女がゆっくりと膝を曲げているのが見えた。屈んだので女の顔が見えると同時に、グッググググッと机の下に上半身を突っ込んできた。目の前に女の顔が、女の髪が顔に覆い被さる。蒼白な顔に見開いた目。目玉は黒一色で白い部分が無かったという。 女が金切声の悲鳴を上げると同時に、先輩は金縛りが解けて慌てて身体を起こした拍子に頭を机の底に強打した。痛さで転げ回る先輩に、女がバカにしたように嗤う声が部屋に響いた。 「空手を嘗めやがって。幽霊に売られた喧嘩を買ったよ」 私は空手は関係ないと思ったが、先輩の語りの腰を折りたくなかったので疑問は黙っていることにした。 次の日の夜。先輩は部屋の真ん中に布団を敷いて女を待った。眠っているふりをしていると突然金縛りになり……女が枕元に現れた。 丹田に息を送り込む。 空手独自の呼吸法「息吹」で金縛りが解けた。 「馬鹿野郎!」と叫びながら飛び起き 女の顔面に正拳突き。 あっ!と驚いた表情で女は弾けるように消えた。 「一発かましてやったら、その日から幽霊は出なくなったぞ!」 凄いぞ先輩!幽霊に勝った! 大変だった課題も今週で終われそうだ。来週から練習に出るから頑張ろうぜ!と威風堂々とした後ろ姿で食堂を出ていく先輩はカッコ良かった。 空手最強!先輩最強!押忍! しかし先輩は練習には来なかった。げっそりとやつれた先輩を食堂で見かけたのはその三週間後だった。「押忍!」と挨拶をするやいなや「先輩!幽霊どうなりました?」と訊いた。こんな姿に先輩がなっているのは、あの幽霊が関係しているとしか考えられない。 「幽霊か……。あれは参ったよ」 先輩は疲れ切った様子で語りだした。女の幽霊を正拳突きで蹴散らした一週間後の夜のことだという。 「勝ったと確信していたので、熟睡していたんだ」 仰向けの状態で寝ていた先輩は、突然目がさめた。 身体が動かない。いつもの金縛りだ。 丹田に息を送り込む……が、解けない。身体が動かない。 首がぐっと自分の足元を見るように曲がった。 自分の意思ではなく、何らかの力がかかっている。 無理な体制で首を曲げられているので呼吸が苦しくなってきた。 ……足元から紫色の霧が湧き上がってくるのが見えた。 霧の向こうから、大勢の男達がお経を読む諷経(ふうぎん)が響いてくる。 部屋の空気が諷経の振動で揺れた。 足元の数十センチ上にある霧の中から、ゆっくりとドッチボールぐらいの大きさがある赤色の丸いもの出てきた。 初めは何か分からなかったが、それが綺麗に剃り上げられた人間の頭頂部だと判った。 頭頂部はグルンと上に返ると睨んできた。 赤鬼のように真っ赤な形相をした男だ。 紫の霧の中からゆっくりと頭から肩と……胸のあたりまで押し出されてきた。 赤い坊主は仰向けで金縛りになっている先輩の体の上を顔に向かって空中を平行に移動しながら迫って来た。 眉間に深いシワを作り、睨みつける目からは強烈な殺意を感じた。 このままでヤ(殺)られる。 坊主の顔が顔に向かって迫って来る。 「目の前で爆発したんだ」 坊主の顔が弾けた。 腐ったトマトが爆発したように。 そこからの記憶がないという。 恐ろしい。先輩がやつれるのも無理がない。 「俺、あのアパートから出るよ」 「押忍!幽霊に命を取られる前にできるだけ早く出た方がいいです」 「……幽霊?スターボーズね」 「……スターボーズ?」 映画『スターウォーズエピソードⅣ』の冒頭に、煽りで巨大宇宙戦艦が飛んでくるシーンがある。あの映画のように、坊主が足もとから飛んできたので「スターボーズ」と名付けたという。 「映画のシーンを思い出して笑ったよ。坊主だし」 先輩は爆笑しながら、幽霊はその後も出たがお互いが干渉せず無視しあうことで共存できるようなったという。 とすると、先輩をやつれさせ、部屋から出る決断をさせた理由とは?… Read More »

第十夜「お墓で遊ぶな子供達」ひろ談

これは私が高校の時、付き合ってた彼氏(超霊感強い奴)と体験した話しです。近所に墓地があるんですけど、やはりああいう所でおふざけしちゃいけないんですよね。 真夏の夕方、「(幽霊が)出るよ~出るよ~、ほら、あそこにいる~」なんてふざけ合いながら歩いていたのですが、突然彼が真顔になって一言 「や、やばい……怒ってこっちにらんでる」 その瞬間、周りの空気がさーっと寒くなって体がぐっと重たくなったんです。おもしを体中に付けられたように。私だけでなく彼も一緒に同じ状態になっていました。歩くのも片足ずつゆっくりしか動かす事ができませんでしたが、なんとか墓地から離れようと、歩きました。 取り憑かれた場所から離れれば、いなくなる場合が多いはずなのにあっちの世界の方々ずっと憑いてきてしまったんです。彼が言うには、3体が二人を行ったり来たりして憑いていたそうです。 10分ぐらいづっとそんな調子だったのですが、ふっと軽くなったんです。そしたら、彼の方が歩けない状態になったので、大丈夫って感じで体に触れたら、今度は私だけがぐっと重たくなって。 その時は2体に減っていたそうですが、相手に触れるとそっちに移るという感じでした。彼は除霊ができたので、彼に移った時にあっちの世界になんとか行ってもらいました。その間感じたあの嫌な雰囲気は一生忘れる事ができないでしょう。 書くとそんなに恐くない話しなのですが、あの時は本当に恐怖の一言でした。また、あれ以来あっちの世界の方がお目見えになるとわかるようにもなってしまいました。あの時と同じ雰囲気にさーっと変わってしまうから。まだ、見えないだけいいかとも思いますけどね。 とりあえず、お墓では遊ばない方がいいでしょう。。。

第六夜「飴の鞭」天河花子談

これは、俺が専門学校時代のクラスメイツi(男)の体験談だっ! iは某銀行支店長の息子だ。iは次男坊で12才年上の兄がいる、年をとってからできた子はかわいい……。それは、年の離れた弟にも当てはまるのだろう。iは両親と兄に可愛がられ、ぬくぬく育った。そんなわけで、iはかなりわがままだ。i19才、彼(と両親&兄)に「飴と鞭」という言葉は無縁だった。やさしい兄は、新車を買ったやさしい兄は、iにお古の車を与えた(飴)RV車だ。 iは、喜んだ。iは、走った。海へ、山へ、走りまくった。 そしてある日、女をとなり乗せ山林を走りにいった。そこに待ち受けるのは、iの人生最大の恐怖(鞭X鞭?)とも知らず……。 iには彼女が2人いる(当時)。iは最近狙っている女(3号予定)を乗せ、夜のドライブとしゃれこんだ。 iの「男の方程式(今日こそこの女ヤル!理論)」本人談 男らしく思われたい+やりたい=車をかっこよく乗りこなす 愛車(自慢)=RV車(はやり) RV車=山道(心霊スポット) 山道(心霊スポット)=怖い 怖い<やりたい というわけで、地元でちょっとばかり有名な心霊スポットへ向かった。なれない車、暗い山道、幾重にも分岐する悪路、霧が少々……iは道に迷った、はずんでた会話が止まり、不機嫌になる女、焦るi(やりたい)。 何だかんだで1時間。無言の二人。流れ込む「あっちの空気」。さらに分岐する道。iは迷った、右か左か 「右……」 怒で無言だった女が口を開いてくれた。iの顔に明るさが戻った(ヤレる?)。さらに分岐 「左……」 iは喜び勇んで左に曲がる。iは女の言うとおりの道へ進む。もうすぐ山道を抜けることができる、そして・・ヌケる?。iはそう信じていた。 「ソノママ、マッスグイケ」 女の指示は続く、 iは思った「なんか変だ!」 「モウスグ・・モウスグ・・・・」 iは気がついた、女の声がだんだんしゃがれていく事に。ここはどこだ、iは考えた、答えはすぐにでた、そう、ここは地元でちょっと有名な心霊スポット。iは恐ろしくなって(鞭?)急ブレーキを踏んだ。道は舗装されてない、車は少々スリップして止まった。すると霧の向こうに町の灯りが見え、眼下には崖が広がっていた。 「…ち…く・しょ・う…」 女はそう言い残すと眠った、いや、最初から寝ていたのだ。 数日後、iはその女と縁を切った。無論女は、あの夜起きた出来事を知らない・・・(実話)

第四夜「血のソフト」あだ談

皆さんは、パソコンでゲームをされていますか?最近はやってますよねぇ。恐怖モノのゲームソフト。しかし、なかには本物もあるんですよ。 「いわくつき」のゲームソフトが。 開発中に事故が多発して幾度と無く発売が延びたとか、歴史上の人物を扱って「祟り」に見舞われたとか……。これは「本物の恐怖ゲームソフト」のお話です。 今をさかのぼること数10余年。まだパソコンが今ほど一般的でない頃、その筋では有名なソフトハウスが有りました。たしか、「ソフトスタ○オ・ウ○ング」と言ったと記憶しています。 噂では、そのソフトハウスの裏手は大きな共同墓地で、モノホンの幽霊もしょっちゅう出没する、素敵な「心霊ソフトハウス」だったそうです。 発売するゲームもそれはそれは個性的で、グリコ森永事件を扱った「モ○コ脅迫事件」。作者は気が触れているとしか考えられないサイキックホラー「○と●の伝説」などなど……。そんな「ウ○ング」がついにやってくれました!決定的な新作が発売されたのです! その名も「怨○戦記」(※1988年発売) パッケージにはモノホンの「お札」が同封され、マニュアルには「プレイ中は同梱のお札を手元においておくように」と……。う~ん、マニア心をくすぐるソフトだ(笑い)。 僕の友人のHはホラー怪談系のゲームが大好きマニア!もちろん「ウ○ング」の新作を逃すはずが有りません。 早速購入しプレイ! ……ゲームにのめり込むこと数時間。が、ある場面でゲームが止まってしまうのです。画面いっぱいにノイズのようなが……。 ……何度やり直しても結果は同じ。またまたノイズが……。とにかくメーカーのユーザーサポートにTELしょう。 サポート先では、ユーザーから問い合わせが殺到しているようでした。電話に出た担当者は「チェックのため送り返して欲しい。」と、疲れた声でHに告げたそうです。 数日後。 チェックされたソフトが、送り返されてきました。同封のメーカーからの手紙には、 「事象再現せず。念のため新品と交換します。」と……。 う~ん、おかしいな?機械の故障か?でもほかのソフトはちゃんと動いてる。……不審に思いながらもHは交換されたソフトでプレイ再開!……プレイすること数時間。また例の場面。 ノイズ。 前と全く同じところで止まってノイズ画面に。うーん、どうして?……困り果ててノイズの画面を見つめるH。 ……?! なんと、単なるノイズと思っていた画面は! 顔だ! それは、ゆがんだ人の顔が画面いっぱいに写っていたのだ。あああああ!なんてこった!怖くなったHはそのゲームソフトを返品したそうです。「ゆがんだ顔」が現れると書き添えて……。 そして、彼は、その夜さらに恐ろしい体験をしたそうです。しかし、その先はどうあろうとも語ろうとしません。 う~ん、残念。 噂ではそのソフト、初期出荷分の半数以上が初期不良で返品されたにも関わらずメーカーのチェックではほとんど問題ない製品だったそうです。 数年後、なんとその「怨○戦記」がゲーム機に移植されました! その名も「真・怨○戦記」(笑)。 ちなみにメーカーは「フ○コム」とかいったと思いますが、「ウ○ング」との関連は私にはわかりません。 Hは懲りずに購入しました。さすがマニア! 早速買ってきたソフトをプレイするH。ところが……なんと、昔と全く同じ場面で全く同じ現象が起こるではありませんか! さすがに懲りたHは即売却したそうです。 そのソフト、今でも秋葉原の中古屋にあるかもしれませんね。怨念を含んだまま。 「……あれ?いま、アナタが遊んでるソフト、それってもしかして……」

第参夜「交差点」Mr.タナカ談

私の友人が体験した話です。 7月の土曜日の夜10時頃、彼は新宿アルタ前の壁にもたれて酔いをさましていました。今日彼は会社の後輩達と酒を飲んでいたのです。 後輩達は次の店に行ったらしいのですが、彼は何故か一緒に行く気が起こらず壁にもたれて休んでいました。 アルタ前の交差点には人が溢れていました。そんな人達をぼっと見つめていたのですが気になることが有りました。小さな6才ぐらいの女の子が、交差点を行ったりきたりしているのです。 こんな夜遅くどうしたんだろう。 迷子にでもなったのだろうか? 赤い靴を履いた小さな女の子は、ほろ酔い加減で歩いている人達の後ろを付いていって、交差点を行ったりきたりしています。彼は絶対迷子だと思い、その女の子の方に行きました。 女の子は、よっぽらった男の服の裾を掴みながら交差点をわたってきました。わたった所で立ち止まりキョロキョロしています。彼は女の子の前に行き、覗き込むように話しかけました。 「どうしたの?迷子にでもなったの?」 女の子は、一瞬驚いた顔をしました。そして、愛くるしく笑い顔を作り。 「・・・・・・おまえ見えるんか!」 嗄れた男の声で喋りました。そして、女の子は煙のように消えたそうです。 今でもアルタの交差点には、誰にも気づかれず、その赤い靴の女の子はいるのでしょうか?