第二十参夜「扉の向こうに……」チョースケ談

投稿者: | 2023年5月13日

はじめまして!! チョースケです。
すべて読ませていただきました。
……そこで、僕の話も聞いてもらおうと思ったのですよ。

僕の通っていた小学校の話です。

僕の実家は北海道のへき地にあり(友人によくバカにされる)当然小学校も古かったわけです。なんせ木造ですから。そして、体育館へと続く廊下の途中になにやらわけのわからぬ、扉がありました。誰も入ったことがなく、また、扉についている覗き窓には、中から黒い紙が貼ってあり、見ることもできず、なぞの場所でした。
当然、そこまでするには、理由があるのでしょうが、先生方は何も教えてくれず、見せてとせがんでも、鍵がないと言い張るだけで、承知してくれないのです。何があるのか、また何かありげなその雰囲気に、皆興味しんしんで、夜学校に忍び込んで、そこに入ってみようという話になりました。
(古い校舎でしたから、いかれていて忍び込める場所はいくらでも存在したわけです)
最終的に、人数は4人になりました。これから先はリアルタッチでお楽しみください(笑)

<人物紹介>

友人加藤(K)‥‥あっちの世界に、足をつっこんでいる人。
友人志村(S)‥‥霊感まるでなし。強気なだけの役立たず。
友人高木(T)‥‥無感動男。何で来たんだ、こいつ?
本人チョースケ(チョ)‥‥恐がり。とにかく何でも恐い。

チョ 「なぁ、何か出たらどうする?」

S 「いや、逃げるけどね」

K 「そんな簡単に見ないって」

T 「……ティッシュ持ってない?」

4人は慣れたように、壊れた窓を乗り越えあまり危機感もなく保健室に忍び込んだ。
恐がっているのはチョースケだけである。
Sを先頭に、2階の職員室へと向かう。
例のなぞの扉を開けるための鍵の捜索のためである。
職員室自体の鍵は壊れているため、ある開け方をすると簡単に開くのだ(ボロい)。
鍵置き場は比較的すぐに見つかった。……というか、壁にかかっていた。
鍵にはプレートがついていて、教室名が書いてあった。
4人は聞いたことのない鍵を一つ探し出し、それを持って職員室を出た。

S 「明日って、理科のテストだったよな」

チョ 「後で、担任の机の中から盗ってこうぜ(笑)」

その時の4人に、その後何が起こるかはわかるはずがなかった。
4人は、恐怖と期待のために、無言のまま……というわけはあるはずがなく、関係のない話をしてゲラゲラ笑いながら、体育館へと向かった。
真っ暗な中、唯一の明かりである、高木の持つ懐中電灯がほの赤く光っていた。

ブキミである。

さすがに体育館へと近づくにつれ、口数は減っていった。
……そして例の扉が見えてくる。
皆、意識しているため、そこからは視線を外し、下を向きながら歩いていく。
とりあえず、少し遠くから光をあててみた。
覗き窓にはあいかわらず、視界を閉ざす黒い紙。
扉の前に立って、鍵穴に鍵を入れ……

K 「‥‥あいた‥‥」

加藤の声が変に廊下に響いた。鍵を凝視していた4人の視線は、自然と黒い紙の貼られた覗き窓に向かう。
そう、黒い紙の貼ってある……

皆 「わぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

覗き窓には、見えないはずの人の顔が。
僕らは先を急ぐように、壊れた窓を目差して全速力で走りました。
そして運悪く、忘れ物を取りにきた隣のクラスの担任につかまってしまいました。
見つかってしまったのは、非常に不本意だったのですが、僕ら4人だけでいるのはそれ以上に恐かった(なにせ、あの無感動男の高木も大泣状態だったのだ)ので、大嫌いな、その先生でしたが4人で一緒に飛びつきました。
その日は、隣のクラスの担任に送られ、無事に家にたどりついたのですが(当然親には怒られた)、恥ずかしながら(他の4人は知りませんが)一人では眠れず、母親と一緒に寝たのを覚えています。

翌日、大騒動になっていたのは、言うまでもありません。
なにせ小さい学校ですから、多少のことでも校長先生のお叱りを受けるのです。
僕らは親同伴で登校し、そのお叱りを受けました。
そしてその後、担任の先生から、あの謎の部屋のことをこっそり聞いたのです。

それによると……

二十数年前のこと、学校にある女の子が転入して来たそうです。その頃、あの謎の部屋はトイレとして使用されていたそうですが、それでもそこを使用されるのは、体育の時ぐらいだったそうで、普段はあまり使用されていませんでした。
ところで、その女の子、時期外れの転入生だったこともありましたが、元来とても内気な性格だったこともあり、なかなか友達の輪に入ってもゆけず、みなにいじめられていたそうです。
そして夏休み前日、いつものいじめで、その女の子は体育館脇のトイレ……そうあの謎の部屋へ閉じ込められてしまったのでした。
あまり、使用されることのないトイレだったこともあり、用務員のおじさんも見回りを怠り、当然閉じ込めた本人たちもこれからの長期休暇に夢中で誰一人として、女の子に気づく人はいませんでした。
忘れられてしまった女の子は、そのままトイレに閉じ込められ……
新学期前日、長い夏休みのあと、体育間の掃除にやってきた用務員のおじさんによって、女の子は発見されました。
……変わりきった姿で

(両親は離婚まぎわの危ない状態だったため、家に帰らないことはしょっちゅうで、どちらも自分の子供に興味がなく、夏休みということもあり、また祖父母の家にでも泊りに行ったんだろうとしか考えなかったそうで、捜索願いも出されていませんでした。)

それからは、そのトイレが使用されることも全くなくなり、今にいたるのだそうです。
そして担任の最後の言葉に僕らは耳を疑いました。

担任「あのトイレに鍵がついてただろ?その鍵もどっかに紛失したまま、見つかってないんだよ」

……僕らの使ったあの鍵はなんだったのでしょうか!?
気がついて探してみましたが、4人とももう持ってはいませんでした。

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