第二十四夜「虫のしらせ?」ことり談

投稿者: | 2023年5月13日

冬の夜のことでした。
私はまだ、小学生で、その日もいつもどおり、床につきました。爆睡していた、その時です。いきなり、真横から、すごい勢いで揺さぶられ、目が覚めました。
見ると、枕元に母が立っていて、こう言うのです。

「ことり、おばあちゃんが大変なんだよ!」

その頃、母方の祖母は、入院中だったのでした。

「ええっ!」

私は驚いて、上半身起きあがりました。……起きあがったはずなんですが……気がつくと、朝になっていました。

(゜-゜) 「?」

ぼんやりしていると、父が、

「おばあちゃんが亡くなったから、病院に行くよ。」

と、言いました。

「おばあちゃん、死んじゃったの……?」

母は、先に行っている様です。

『お母さんてば、どうして起こしておいて連れて行ってくれなかったんだろう。子供が行っても、邪魔になるだけだからかなあ。それとも、私、あの後、寝ちゃったのかなあ。』

妹と2人で泣きながら、タクシーの中で、そんなことを考えていました。
病院に着くと、中から母が青ざめた顔で出てきました。祖母の遺体は、私たちが病院に着くより一足先に母の実家に帰ったとのことでした。

「お母さん、何で起こしてくれたのに、私も連れて行ってくれなかったの?!」

私は、母を責めるように聞いてしまいました。

「何、訳のわからないこと言ってるの。」

母が泣き出してしまい、その場は私も何も言えなくなってしまいました。私たちは、一度家に帰って、出直すことになりました。

私の中で、わきあがる疑問。どうしても、納得できなくて、こっそり父に聞きました。

「お父さん、お母さんは、夕べ、何時に出かけたの?」

「おまえたちが寝て、すぐだよ。電話がかかってきたから。」

おかしい、なんか、おかしい。

「お母さん、ゆうべ、私のこと、たたき起こしたよね?」

「ううん、そんなことしないわよ。」

えっ……
でも、そういえば……
私が母だと思いこんでいた、あの人。

「おばあちゃんが大変なんだよ。」

って言ってた、あの人。
真横から、私を揺さぶったのに、枕元に立ってた。
小さい電気をつけていたのに、真っ黒だった。
母のドッペルゲンガーだったのでしょーか。まあ、いいけど……
このことがあってから、たま~~に変な物見るようになりました。

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