第六十弐夜「怖いけど悲しいお話」健康優良児談

投稿者: | 2023年10月2日

どうもはじめまして。
これは僕が初めて幽霊というものを見たお話です。

僕が小学校1年生になり初めての夏休みを満喫していた頃でした。
僕の家の近所に順子ちゃんという女の子が住んでいました。
順子ちゃんとは学校も同じクラスで、いつも一緒に遊んでいました。
よく彼女の家にも遊びに行って彼女のお母さんにも色々お世話になりました。
僕は順子ちゃんの事が大好きでした。
初恋の人でした。
でも彼女とお別れの日はその夏休みの7/27にきました。

7/27……僕は順子ちゃんといつものように公園で遊んでいました。
僕と順子ちゃんは砂遊びが大好きで、いつも砂まみれになっては順子ちゃんのお母さんや僕の母に怒られていました。
その日もいつも通りドロドロになってしまいました。

「順ちゃん。こんなにドロドロだとお母さんにまた怒られちゃうなぁ」

僕は順子ちゃんに笑いながらそう言いました。でも順子ちゃんは少しさみしそうに、

「……。でもお母さん昨日からおれへんねん。どっか行ってしもうてん。」

と言うのです。

僕は小さかったせいか意味がよく解らなかったので、

「ふ~ん。」

と言って聞き流していました。
そして夕方になりそろそろ帰ろうかと言おうとしました。
その時、順子ちゃんのお母さんが砂場の端に立っていました。
そして優しく僕達を見下ろしていたのです。

「あっ!お母さんや!お母さんや!!」

順子ちゃんは大変喜び、お母さんの方へと走って行きました。

「なんや、おばちゃん。びっくりしたやん。おるんやったら声かけてや。も~。」

僕はびっくりして順子ちゃんのお母さんに文句を言ったのを覚えています。

「あぁ。まあくん。びっくりさせてもた?堪忍な」

順子ちゃんのお母さんは優しく誤ってくれました。

「さっ、順子。そろそろお家、帰ってご飯食べよ。まあくんもそろそろお家に帰りなさいね。」

と順子ちゃんのお母さんと順子ちゃんは僕をおいて家に帰りました。

7/28……朝起きて恒例のラジオ体操に行きました。
いつもならラジオ体操の帰りはいつもの公園で順子ちゃんとセミをとってりして遊ぶのが日課になっていました。
けれどもその日は順子ちゃんがラジオ体操を休んでいたので仕方なく、真っ直ぐに家に戻りました。
すると父や母がなにかしらバタバタと慌てていました。

「なんかあったん??」

僕は母に尋ねました。すると母が青ざめた顔で

「順子ちゃんのお母さんがな、亡くなりはったんや!」

というのです。
僕はびっくりしてしまいました。
昨日はあんなに元気だったのに

「嘘や!嘘や!だって昨日、おばちゃんに逢った時、おばちゃん病気とかじゃなくて、すっごい元気そうやったで??!!」

僕は泣きながら母に言いました。
すると父と母が神妙な顔つきで、

「……まあ坊、それほんまか?昨日おばちゃんにあったんか?」

と言うのです。
僕は昨日の公園の話を母に言いました。すると母がいきなり泣きながら、

「死んでも順子ちゃんの事が心配やったんやわ。可哀想に・・・。」

と言いました。
僕はその時はパニック状態になっていたので詳しい話は聞きませんでした。
夏休みが明けて学校が始まりましたが順子ちゃんはもういませんでした。
なぜなら7/30に順子ちゃんのお母さんのお葬式が終わってすぐにどこかに引っ越してしまったからです。
母に詳しく話を教えてもらい真相が解ったのですが僕と順子ちゃんが公園で遊んでいた日の前の日、7/26に順子ちゃんのお母さんは近所の幼稚園の用具倉庫で首を吊って自殺していたそうです。
原因はわかりませんが遺書には

「順子の事よろしくお願いします。」

と書いていたそうです。
僕が見たあの順子ちゃんのお母さんは幽霊だったようですが全然怖くなく、とても優しかった生前の順子ちゃんのお母さんと全く一緒でした。今はどこに行ったか解らない順子ちゃんですが昔と変わらず元気で居てくれたら幸いです。

 

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