第三十六夜「臨死体験」ゆきにゃ談

投稿者: | 2023年5月29日

こんにちは。 いつも楽しく読ませていただいてます~。
結構仕事中に見てる時が多いので、画像が画像なんで……
ちょっと恥ずかしい時があります……。
でも、他の怖いお話HPのように、
「ふと気がつくと血だらけの女の顔が……」
とかいうくだりだけ大きな文字になってないので助かりますけど。
あんなの遠くからでも誰かに見られそうで……。
それはともかく、いつも読んでばかりなので、私の母の体験した不思議なお話をちょっと書いてみようと思いました。怖くはないですけど、結構「あっちの世界」が入ってるので……。

「臨死体験」

このお話は、まだ私が母のお腹にいるころ私の母が体験したできごとです。
母は妊娠5ヶ月目の時、検査で卵巣に腫瘍があることが分かりました。
このままでは、その腫瘍はどんどん大きくなり、胎児 (私です)の頭を圧迫し障害が出てしまう、と医師から言われた母は、妊娠6ヶ月の非常に危険な時期に手術を受ける決心をしました。お腹の中に胎児がいるため麻酔はできるかぎり少量で、しかも胎児の真横にある卵巣を摘出する、という非常に危険な手術でした。

母は麻酔を打たれ、母のお母さん、そして私の父が見守る中手術室へと入って行きました。
麻酔が効いてきてしばらくすると、母は自分がごうごうと風がふく真っ暗なトンネルの中にいることに気づきました。ものすごい風の中、飛ばされてはいけないと岩にしっかりとしがみついています。それでも容赦なく吹き付ける風に、母の腕はしだいに疲れ、あぁ、もういいや、と思った瞬間腕の力が抜け、母は暗いトンネルの中を風に飛ばされて行きました。

突然あたりがぱっと明るくなり、母はふわふわと宙に浮いています。そこには先ほどの風もなく、地上には色鮮やかな花が咲き乱れ、空からはきらきらと光りが降ってきます。

「なんて気持ちがいいんだろう」と母は思ったそうです。

このままふわふわと流されて行きたいという気持ちでいっぱいだったそうです。
母がまどろんでいると、どこからか声が聞こえます。

「お~い、こっちにおいで!! 早くおいで!!」

母が声のする方を見てみると、母のお母さんと私の父が一生懸命手招きしています。

「いいのよ、私はここでとっても気持ちがいいんだから、このままでいいの。」

と母は言いました。
でも、父の真剣な表情と、いつも気丈はお母さんが泣きながら手招きするさまに母は何事かと思い、起き上がろうとします。でも、何度やってみても体に力が入らない……。それでも、二人は一生懸命手招きをしている。母は満身の力を込めて、起き上がりました。
その時、

「先生!!! 患者さんが息を吹き返しました!!! 意識が戻ってます!!!!」

という、甲高い女性の声が聞こえました。

母は何のことか分からずに、また眠りに落ちていきました。
気がつくと、母はまた強い風の吹く真っ暗なトンネルのなかにいました。
岩にしがみつきながら、ふと顔を上げると、長~い白いひげをはやしたおじいさんが立っています。
おじいさんの横には四角い電光掲示板のようなものがあり、良く見てみると赤い小さな電気がす~っと、その掲示板を横切っています。一番右端まで行くと、光は次の段に移り、またす~っと左から右へと掲示板を横切ります。ずっと見ていると、その横切り方が段によって長さが違います。ある段では一番右端まで光が行き、あるものは半分で次の段に写ります。
その光の動作を見て、母は

「あぁ、人間が生きていくってこういうことなんですね・・・」

と思わずつぶやきました。
すると、長いひげのおじいさんはゆっくりとうなずきました。
目が覚めると、母は病室のベッドで寝ていました。
そして、そばに付き添っていたお母さんと私の父から 途中で麻酔が切れ、心臓が一旦停止したこと、奇跡的に息を吹き返したことを聞きました。
そこで始めて、途中で聞こえた甲高い女の人の声がなんだったか分かったそうです。

ひげのおじいさんに思わず口から言葉に関しては、後で考えてみると、あの掲示板は人の生命だったのでは、と思ったそうです。
色んな長さのそれぞれの命が次の代へ、次の代へと受け継がれていく。
今でも母はそれが人生の心理だと信じています。
そして、母はこの体験をしてから死ぬことに対して全く恐怖心をいだかなくなったそうです。

この、私の命どころか母の命まで奪ってしまうかもしれないこの危険な手術に勇気を持って挑んでくれた母に私は心から感謝しています。

p.s. 長くなってすみませんでしたが、長いひげのおじいさんに関しては後日談があるので、また書きますね。

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