第二十五夜「真夜中の銃火」時田八雲談

投稿者: | 2023年5月16日

どうもみなさん、初めまして。

あっちの世界ゾーン、新旧ともども読ませていただきました。そこで、拙くはありますが、私の体験談を書かせていただきます。これは、怪奇現象なのか、心理現象なのかわかりません。単にイっちゃってる私の、幻覚なのかもしれません。でも私自身は確かにアレを見ました。感じました。

それは1、2年前、高校の一年か二年の頃です。

私は自室のベッドで寝ていました。

枕の下の二丁の拳銃、ワルサーPPKとS&Wボディーガードの心地よい感触を楽しみながら。わたしはガンマニアでした。いえ現在もです。もうこの世界にかかずらって10年になります。こっちの方面でもイってたりします。そんなことはどうでもよろしい。

私は寝ていました。ふっと目を覚ましたのです。ドアの開く音が聞こえた気もしました。

眠い目をこすりつつ、首をひねって(私のベッドはドアの方に頭が向くようにおいてある)ドアの方を見ました。

部屋の中はほぼ真っ暗。ドアの方には、女性と思われる影が。

その影が、いくら暗い部屋の中とはいえ真っ黒であることに疑問を持たず、母だと思った私は「オカンか?」と尋ねました。

・・・・・・・・

影は沈黙のままです。答えません。気配すらもないのです。私の背筋は凍りました。総毛逆立つ、とでも言うのでしょうか。私は反射的に枕の下に手を伸ばし、装弾数で優るPPKをつかみ、弾倉が空になるまで引き金を引き続けました。

10発を撃ち終えた私は、恐怖にひきつりながら、S&Wに持ち替え、シリンダー内の5発を放ちました。このときはもう、影の方を見ず、ベッドの枠から手を出し、顔は伏せたままのめくら撃ちでした。

弾が壁に跳ね返り、部屋中に散らばりました。

S&Wを撃ち終えた私は、これも無意識のまま、弾倉を開け、床に散らばっているBB弾を拾い、S&Wに詰め始めました。

ここで意識はとぎれるのです。

気がつくと、朝でした。手にはS&Wを握っています。弾倉を開けて、残弾数を確認してみました。5発きっちり、入っています。(夢やったんかな。)と思いました。

ベッドから出て、念のため母に聞くと、私の部屋などには来ていないそうです。

やはり夢か、と思い、部屋に戻ってベッドに腰掛け、枕を上げると、PPKがあります。何の気なしにPPKを手に取り、弾倉を出してみると……カラでした。寝る前にはフル装弾だったはずの弾倉が……

あれは夢だったのか?

それとも無意識のうちにS&Wに弾を補充してから意識を失ったのか?

答えは未だ出ていません。

手がかりもありません。

カラになった、ワルサーPPKの弾倉をのぞいて……

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